●さとうひろみ お絵描き密着24時!ドキュメンタリー●

たまに「どうやって絵を描いているんですか?」とか「画材は何を使っているんですか?」という質問を受けることがあります。そこで今回は思いきって自分自身に密着!さとうが普段どのように絵を描いているかをご紹介します。

いつも「よ〜し、今から絵を描くぞ!」と思って描いているわけではなく、ふとした瞬間に突然発作的に絵が描きたくなります。そんな時はとりあえずいつもこのクロッキー帳にラクガキしまくります。発作がおさまるまで何ページも描きますが、それをちゃんとした作品にしようと思ってるわけではないのでメチャクチャの絵です。そして100%人物画です。しかもそのうちの80%は少年画です。(恐いよ!)たくさん描いていると時々妙に雰囲気のある人物が出来たりします。その人物がその背景にあるストーリーを私に教えてくれます。そうなった時にだけ、ちゃんと色をつけてその世界を完成させようと決めます。
下書きに使っている無印のシャーペン。シャーペンでも鉛筆でも何でも良くて、特にこだわりはありませんが、消しゴムは絶対「まとまる」もの限定です!粉のような大量の消しクズがパラパラ飛び散るのだけは我慢できません。
絵を描く時の必須アイテムが音楽とテレビ。音楽は大抵キリンジを聴いてます。キリンジ無しでは生きていけません。テレビはなんとなく点けたり集中したい時は消したり。(画面はたまたまオダギリジョー。)
クロッキー帳の中でだいたいの下書きをします。
今回は天使が出てきました。
最初、この天使だけが出て来て、自分は星を空にちりばめる仕事をしていると教えてくれたので、星を作るお花を持ってもらおうと思いこのような絵になりました。ずっと飛んでいて疲れたので、ちょっと月にとまってひと休みです。

出来上がったらクロッキー帳から切り取ります。
ライトボックスを使って、本番の紙にトレースします。
紙はフランス製水彩紙「アルシュ」です。ちょっと高いんですが、もはやこれ以外は使えません。
でもこの紙、何故か臭いんですよね。原料にたい肥でも使ってるのか?と思ってしまいます。

 トレース終了。
ペン入れをしていきます。
いつも人物からペン入れします。人物の表情が絵の命なので、ここを失敗したらやり直します。他の部分を描いて最後に人物を失敗したら時間が勿体ないので、必ず人物を一番最初に描くことにしています。
今回はうまくいきました!
ペン入れに使っているのはSignoの極細のゲルインクボールペン。5年前からずっとこれです。これが製造中止になったら私は絵が描けなくなるといっても過言ではありません!

ペン入れが終わったら、いよいよ色を塗ります。
色を塗る前に、必ず上の写真のように準備します。中学校から愛用している筆洗バケツ、絵皿、ティッシュペーパー、アイスコーヒー(冬はホットコーヒー)。
ちなみにテーブルではなくちゃぶ台です。実家にいた頃からずっとちゃぶ台で絵を描いていたので、今のアパートでも迷うことなくちゃぶ台を買いました。冬にはこたつになります!

筆はたいていこの2本しか使いません。ちょっと細いのとちょっと太いのです。すごく細かいところを塗る時にはもっと細い面相筆を使うこともありますが、細すぎて何本買ってもすぐに毛が無くなってしまうのであまり好きではありません。

絵の具は水性アクリルを使います。水性なのでぼかしがやりやすく、水性なのに乾くともう水に溶けないので、うっかり水をこぼしたりしても大丈夫です。私は手に汗をよくかく体質なので、これ以外は使えません。
ブランドは「アクリラ」か「リキテックス」。発色がいいのはリキテックスだと思います。が、私の好みの色が多いのがアクリラなのでアクリラのほうを沢山持ってます。
とりあえず背景の色を塗ります。
ちょっと渋い感じの茶系のバックにしようと思います。いつも色んな色を混ぜて微妙な色を作りながら塗っていくので、使いそうな色を絵皿に適当に出しておいて、思い付くままに混ぜながら塗りすすめます。
背景の色塗り完成です。
茶系にしようと思ったのにけっこう青も入れてしまいました。
私はピーコックブルーが大好きで、ついつい使ってしまいます。多分、この色を使っていない絵は一枚も無いんじゃないかと思います。
続いて月の模様や天使など、細かい部分を塗り進めていきます。
月を明るい色にしようか暗い色にしようか迷いましたが、画面をピシッとひきしめようと思って暗くしました。
月にからまる星の花と、天使が空にまいている星の光の色をつけました。
ここで絵の具を使う作業は終了です。
色塗りが終わった後の絵皿はこんな感じ。
正直言って汚い・・・
まあ、一見優雅に泳いでいるように見える白鳥だって、水面下ではジタバタしてるってことで!(一緒にするなって)
絵によっては布や和紙を貼ったりします。写真は私の布コレクションの一部です。ヴィンテージファブリックやパッチワーク用の布など、細かくてかわいい柄の布があるとついつい買ってしまいます。
でも今回は布も和紙も使いません。今回使う秘密兵器はその名も「ラメピタ」!御覧の通りキラキラ光るラメです。これを絵にくっつけて星の輝きにします。
キラキラさせたい部分にのりをつけ、ラメピタをふりかけます。のりが乾いたらハケで余分なラメピタを落として完成です。
これでめでたく絵が完成しました!嬉しいです。天使も嬉しそうです。
ラメがキラッキラ光ってます。キレイです。
絵の所用時間ですが、下書きをした日と色を付けた日が違う上に、ゴハンを食べたりテレビを見たり休憩を入れながらやっていたので測定不可能です。


これはスキャンした画像です。スキャンすると残念ながらラメが光ってくれないんです・・・・ただのゴミのように見えますが本当は光っています。心の目で見てください!

これでメイキングレポートは終わりです。色々書きましたが、どうやって絵を描くのかではなく、絵の中の登場人物の気持ちをどう表現するかが大切だと私は思っています。ひと筆ひと筆こころを込めて、これからも大好きな絵を描き続けていきたいと思います。